質問
建築トラブルになってしまった場合、どのような解決方法がありますか?
まずは業者と協議することになるでしょう。
トラブルの内容によりますが、設計図通りされていない場合は、その部分のやり直しか、手直しを、建築物に欠陥がある時はその補修を、未完成部分があればその完成を、それぞれ求めることになります。
しかし、注文主の望む通りに補修等ができないとか、信頼関係が崩れて、そのような建築業者には、補修等してほしくない、という場合も少なくないです。このような時には、これによって注文主に発生した損害の賠償請求をすることになります。
なお、このような時には、完成引渡日までに、引き渡せないことが多いため、工事遅延のための損害も発生します。開院が遅れると、採用していた看護師などの職員の開院予定日以降の給与とか、請負代金として銀行から借入してあった借入金返済の資金手当のために、別途借り入れることになった金利、開院日からの売上による得べかりし利益などを請求することも考えられます。
なお、このような損害賠償請求をするにしても、損害額の積算や立証は一般的には難しく、そのため病院や診療所のような高額の建築請負契約を結ぶ場合は、請負業者も、民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款付きの建築請負契約書を使うことになるでしょう。
なお令和元年12月、 改正民法等に対応した改正案の公表を行い、令和2年4月からは、民間(七会)連合協定工事請負契約約款が使用されています。これによれば、工事遅延についても、請負代金の1日あたり何%ということで、損害金額を定めておくことになります。
協議で話し合いが纏まらない場合は、簡易裁判所で行う民事調停、通常地方裁判所で行う民事訴訟等による解決が考えられます。それ以外にも、あまり利用されていないのですが、意外と利用価値があるのが建設工事紛争審査会を利用する手続きです。建設工事の請負契約をめぐる紛争につき、専門家による、迅速かつ簡便な解決を図ることを目的として、各都道府県に設置されています。
これらの手続はいずれも専門的な知識が必要になりますので、弁護士に相談・依頼することをお勧めします。